定額残業手当
残業代の問題は、ここ数年、経営者、人事労務担当者を悩ませる問題の1つです。
平成26年7月時点の労働基準法を始めとする労働法は、原則「賃金=労働時間」という発想ですので、それに異を唱えても、ただの法律違反です。
以前は、残業代逃れのために「管理職」に昇進昇格させるのが、主流だった時代もあります。私の記憶では、平成10年代前半までは、そのような考えで、残業代の問題をクリアしていたようです。
「定額残業手当は、労働基準法違反である。」
「定額残業手当は、裁判でも否定されているので、使ってはいけない手当、手法である。」
厳しい論調で記述されているホームページがありますが、「時間外で働いた分を、払っている」のであれば、当然適法です。
では、実際に、定額残業手当を設定します。
- 条件
- 中小企業
- 設定する従業員データ:基礎賃金25万円
(残業手当の時間単価を計算するための基礎となる賃金額です) - 36協定:1か月の上限45時間、1年間360時間
- 月平均所定労働時間160時間
まず、残業代の時間単価を計算します。
250,000円÷160時間×125%=1953円125=1954円
次に、定額残業手当を算出します。36協定を見て、上限にする方が良いでしょう。年間上限から計算した月30時間でも構いませんが、ここでは、月間上限で計算します。
1954円×45時間=87,930円:定額残業手当の額
感覚的には、「多いなあ」と思われることでしょう。役職手当、営業手当を出していたとしても、この基礎賃金25万円なら、せいぜい5万円程度の企業様が多いかと思います。
この定額残業手当の計算には、「深夜勤務の割増」「法定休日の割増」は考慮していません。が、賃金規程で上手く規定しておきましょう。
当たり前ですが、「残業代込み、30万円」は危険です。
未払い残業代で問題となるのが、この込み込みパターンですから。
【余談ですが、30万円の基礎賃金・基本給でも、残業代は結構な金額になります。裁判になれば、付加金も請求され、倍返しになる可能性も】
就業規則、賃金規程できっちり規定しておくほか、労働条件通知書(または労働契約書)で、何が残業代相当額なのか明記しておきます。
もし、現時点で不備があるようであれば、顧問社会保険労務士がいればその先生に、顧問社会保険労務士がいない場合は顧問税理士に社会保険労務士を紹介してもらい、早めに手を打っておきたいところです。
あとは、労働時間の管理を適正に行う、これに尽きます。
「働いている時間は賃金を払う、働いていない時間やサボっている時間は賃金は支払わない」
従業員に伝えましょう。
塵も積もれば山となる。
戦略人事研究所では、
「定額残業手当の設定」を、主に
「賃金制度の再生」で対応しています。
2014-08-20 (水) 09:38:19
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