人事労務の小ネタ

退職金の改革

「どうしても、基本給連動だと長期間働いた方がトクな計算になる」
「退職金の額は、なぜ、貢献度に応じたものにならないの?」
「人事記録を長期間保存なんかできない」

経営者の方から、人事労務担当者の方からも、退職金に関して、色々なご相談を受けます。
たいていの場合、「変えないといけない」意識はあるのですが、「どこから手を付けて良いのか分からない」状態であることの方が多いようです。

古くから事業を営まれている場合は、一番安直な「第2基本給」で対応している企業様が多いでしょう。

必ずしも、基本給連動型の退職金制度が問題ではありません。長期雇用をお考えなら、基本給連動型も選択肢の一つです。
また、貢献度を適正に反映できるとされるポイント制退職金制度は、長期間の人事記録を保管できること、職能資格制度や人事評価制度などの貢献度を明確にできる制度が揃っていることが必要となり、多くの中小企業にとってはハードルが高くなります。

当研究所でも、擬似的にポイント制退職金制度を設計しますが、過去の記録が明確でない場合、そもそもポイントが算定できません。(役職型ポイント制)

当研究所がご提案する「役職任期による退職金制度」は、様々な問題をクリアできる退職金制度です。

算定制度としては、経営者様・人事労務担当者様のお悩みを一掃します。

  • 最終の役職と、その役職の在任年数だけ、支給額を算定します。
  • 例えば、過去10年の役職のみを計算式に取り入れます。

一例を見てください。

  • 退職金の額
    • 部長 1200万円
    • 課長 900万円
    • 係長 600万円
    • 役職のない一般従業員は、在職1年に付き10万円
  • 役職者の算定期間は過去10年とする。過去10年で昇給降格があれば、期間に比例させる。役職があれば、必ず10年で、役職に就いたことがなければ、在職年数で算定。

1)課長で3年、部長(退職時)で7年、のケース
900×3/10+1200×7/10=1110万円

2)一般で2年、係長(退職時)で8年、のケース
10×2+600×8/10=500万円

3)課長で4年、降格で係長(退職時)で6年、のケース
900×4/10×0.5+600×6/10=540万円
(0.5は、降格時の係数とする。)

いかがでしょうか。
シンプルかつ分かりやすいと思います。
「金額、10年、役職、自己都合退職の係数、降格時の係数」などは、自由に決めることができます。

この「役職任期型退職金制度」を導入するに当たっては、いくつか注意点があります。

  1. 既に退職金制度がある場合、労働条件の不利益変更に当たる。現時点での計算額は保証額とするなどの対応が必要。
  2. 役職の乱発、軽い気持ちでの昇格(降格を含む)を発令しにくくなる。(メリットともデメリットとも言える)
  3. 当該年度での債務額を、積立制度の金額にするのか、計算上の金額にするのか。
  4. 長期間役職者である場合の上乗せ(功労金)をどうするのか。



戦略人事研究所では、
「役職任期による退職金制度」を、主に
退職金制度の再生」で対応しています。



2014-08-11 (月) 13:33:56
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