懲戒解雇したい場合の中退共の取扱い

【株式会社戦略人事研究所では、企業の皆さまにとって役に立つ情報を発信します。】

「ある社員を懲戒解雇したい。中退共も減額とかできるの?」
とは、某企業の役員様から、ご相談。

ある社員が「悪いこと」をしたので、懲戒解雇したい、そして今すぐ辞めてもらいたい、と。悪いこととは情緒的感情的なことではなく、おそらく罪名が付くような事案でした。

私「減額できますよ。即時解雇もできますよ。」
役員様「中退共の掛金は、いつ戻ってきます?」
私「スミマセン、戻ってきません…。」

中退共のQ&Aにも記載があります。

8-1-7.懲戒解雇の場合には退職金を減額することができますか?

A.従業員を懲戒解雇したような場合、厚生労働大臣の認定を受けたうえで、退職金を減額することができます。
 退職金を減額したい場合は、「退職金共済手帳」に綴られている「被共済者退職届」に懲戒解雇のため退職金を減額したい旨を記入し、《中退共本部保全課》にすみやかにお送りください。
 また、減額について厚生労働大臣の認定を受けるために退職日の翌日から起算して20日以内に、「退職金減額認定申請書」を《厚生労働省労働基準局勤労者生活課》あてに送付してください。
 退職金の減額が認められ厚生労働省から「認定書」が送られてきましたら、送付を受けた日の翌日から起算して10日以内に、「退職金減額申出書」に「認定書」(写)を添えて《中退共本部給付推進管理課》にお送りください。
 なお、事業主が減額したいとする額が従業員にとって過酷と認められるときは、中退共はその額を変更することができます。
 退職金が減額された場合、その減額分は共済制度における長期加入者の退職金支払財源に振り向けられ、事業主にはお返しできません。

引用元 http://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/qa/qa-08/8-1-7.html

役員様「なんで??」
私「掛金拠出時に経費扱いされていますし、つまり税金にも反映されていますし…。」

私「即時解雇も、内容が内容なので、解雇予告手当の除外認定はされるでしょうが、今日の今日は厳しいですよ。」
役員様「じゃあ、今日明日解雇するなら、月給分(30日分)払えと? 踏んだり蹴ったりやね。」

結局どうしたのか?
守秘義務の関係で詳しいことは書けませんが、「中退共への減額申請」「即時解雇」は選択せず。
(減額申請・掛金が戻らないことについて、生命保険のセールスさんが中退共のデメリットであるとして営業されていますが、生保だと賃金確保法の保全措置をそのままではクリアできないんですよ。)

本当に最近ご相談が多いです。
「明らかに悪いことをしたのに、懲戒解雇ではなく、普通解雇を選択せざるを得ないケース。または、自己都合退職にするケース。」

企業内不祥事を発生させない仕組みが必要です。


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