副業兼業で、社会保険に加入しない方法

日本年金機構の社会保険適用勧奨で、多くの社会保険未加入法人に連絡が行っています。そのせいか、弊社にも社会保険の加入についてのご相談が、少しですが来ています。

  • 法人を設立し事業をおこなっているが、社会保険に未加入
  • 副業のために法人を設立したが、社会保険に未加入
  • すでに事業を行っているが、2つ目3つ目の法人を設立したら

主に節税対策のために法人を設立するケースが多いと思います。が、税理士の先生によっては「社会保険への加入が義務であること」を全くお客様に伝えずに、法人設立をアドバイスしていることもあるとか。

弊社の場合は、10年以上前ですが、設立時から社会保険(厚生年金保険、健康保険)に加入しています。新規適用の手続きは、外部の社会保険労務士先生に依頼しました。

戦略人事研究所いい労務・社会保険に加入しない方法

法人を設立し事業をおこなっているが、社会保険に未加入

従業員の有無が、重要なポイントです。
フルタイム勤務の従業員がいるのであれば、社会保険に加入すべきです。法律上の義務であるほか、定着率の向上や採用・募集のことを考えれば、早めに加入しましょう。

その前に、社会保険への加入に伴う事業主負担について、計算して考えます。従業員とのお話し合い(協議)で、加入後の給与・賃金をいくらにするのか、いくらが良いのかを決めます。

こういう法人様の場合、給与計算もアバウトなことが多いので、源泉徴収簿で所得税を控除するだけのこともあります。給与計算を自社でするのか、税理士事務所が引き受けてくれるのか、手続きも含めて社会保険労務士事務所に依頼するのか、今後の事務手続きについても検討してください。

副業のために法人を設立したが、社会保険に未加入

「社会保険には加入しない」方針であれば、二つ方法があります。
(いわゆるスタッフや社員は抱えていない場合です。)

一つが、「法人から個人成りを選択する」方法です。税金対策や、個人事業でも構わない場合は、個人成りでも良いと思います。

二つ目は、代表者(代表取締役)の役員報酬はゼロ、役員(取締役)は非常勤として加入義務をなくす方法です。非常勤かどうかは法人税の申告書別表とリンクしている必要はありません。役員報酬の決定に関する総会等の議事録は記録として残し、所得税徴収高計算書は整合性がとれるようにしておきます。

法人を残すなら二つ目の方法を選択するしかないのですが、役員が一人の場合は家族の誰かを役員にする、そんなことも。

「社会保険に加入しても良い」ならば、通常は2以上事業所勤務届が必要となります。役員報酬の設定次第です。現在勤務している会社にも連絡が行きますので、兼業副業の許可や届出はキッチリしておかないと懲戒処分の対象となるかも。

※副業兼業でなく、本業として社会保険(厚生年金保険、健康保険)に加入したいのであれば、当然お手続きを取ってください。

※副業で「勤務」する場合、労働時間によっては社会保険加入の対象とされる場合があります。

※代表者が、75歳以上のケースは想定していません。

すでに事業を行っているが、2つ目3つ目の法人を設立したら

「社会保険に加入しない、加入したくない」と言われます。それは、既に現時点で社会保険の最高額を厚生年金も健康保険も支払ってるのに何で手続き必要なの、という疑問から来ています。

法律上、役員報酬が発生していれば、2以上事業所勤務届を出せとなっているからです。「副業のため~」と同じく、代表者は役員報酬がゼロ、その他の役員(役無し役員)は非常勤であれば加入できません。

2つ目3つ目の法人は、1つ目の社長とそのご家族だけというケースもあります。そうであれば、上手くすることで社会保険に加入しないで済むこともできます。

今後、法人に対する社会保険加入勧奨が強まる?

政府の方針ですし、未加入は許さないという風潮もあります。
(すでに、強化されているので、より一層と言うのが正しいのでしょう。)

法人番号と個人番号が紐付けられ、だれがどこでいくらの給与・報酬を受け取っているのが分かれば、より勧奨は楽になりますし、確実に追い詰めることができるでしょう。

加入しないポイントをメモしておきます。

  • 個人成りを検討
  • 法人の場合は、代表者は役員報酬ゼロ
  • 法人の場合、その他の役員は非常勤

個人成りにしても、従業員数や事業・業種によっては加入義務がある場合もありますので、税理士や社会保険労務士の先生にご確認ください。

まだ「強制加入」された事業所・法人は多くはないようです。少なくとも、私の周囲では3回まで文章書面や来訪なら、「加入させられた状態」にはなっていません、現状。

私が、加入基準を作るなら

それは、
「法人の役員であれば、無報酬でない限り、全て社会保険の被保険者とする」
でしょうか。
(書いてきたことを考えれば、そうなります。)

役員の非常勤は、定義があいまい、そもそも無いに等しいので。

あるいは、2以上事業所勤務の仕組みを変える。
それぞれの勤務先で通常の手続きを行う。マイナンバーや基礎年金番号で、名寄せはできるので、保険料は通常通り支払う。2以上勤務は、保険料は案分ですので。標準報酬は、ややこしそうですけど。負担能力がある方からは保険料を取るのも、最近の流行ですし。

このような方向には行かないでしょうが、非常勤は定義の設定次第でどうとでもなりそうな気がしています。例えば、月額10万円以上は非常勤でない、など。年額106万円の基準がすでにあるので、やりやすいと感じています。
ご注意ください。

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