新型コロナ休業支援金を受給されることでの問題点

新型コロナウイルスの関係で、ばたばたとしており、通常のご相談・アドバイスができない状態でした。緊急事態宣言の終了(解除)が出たことで、普段の業務に戻るかも知れません。

さて第2次補正予算で「休業手当をもらえないヒト向け」に「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金」が創設されます。通常賃金の8割、1日あたり15000円の月当たり33万円を上限に支給されるとか。太っ腹ですね。

前提ー憶測ですので

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金を、従業員・社員が受給することで何が問題になるのか。

詳しいことは今後法令(法律や施行規則、通達など)で決まっていくのでしょう。が、周辺の事項で直接明示されていないこともあるかと思います。

それらを憶測(根拠のない想像)をしてみます。

休業支援金受給のための資料は、誰が作るのか?
チェック項目次第では、企業側に負担が行くことも考えられます。離職票と同等レベルのものを賃金額証明として必要とされるのであれば、事業主の負担は結構なもんです。
→休業手当を支払わない程度ですから、離職票は書けないかも…。

以下、ファンタジー(想像)ですので、ご注意ください。

問題点1ー労働基準監督署の調査が入る

労働基準法では休業手当を支給することが規定されています。「休業要請に応えたこと」「テナントなので、営業を選択できなかった」場合には、事業主の責ではなく休業手当を支払う義務までは存在しないという考え方もあります。
(その場合でも、休業手当を支払う方が良いと主張される弁護士先生は少なくありません。人材確保やアフターコロナを考えれば。)

『流れ』
休業手当を支払わない
 ↓
「従業員・社員が、支援金等の支給申請をする」
(オンラインなり、公共職業安定所の窓口なり)
 ↓
労働基準法違反である
 ↓
労働基準監督署へ情報提供
 ↓
労働基準監督署が調査に入る可能性
 ↓
労働基準監督署・労働基準監督官が是正勧告(休業手当を支払え!)

ここで疑問が一つ。休業手当を支払えという指導をした場合は、休業支援金との2重取りになる? 休業支援金は返還? 是正対応しなければ、休業支援金はそのままで、事業主だけ送検・事件化?どうなるんでしょう。

8割と6割の問題もでてきます。

ただし、件数が多いようなら、書面での指導や集合指導になるかも知れません。

労働保険未加入なら

労働保険は従業員を1名でも、短時間でも雇っていても加入の手続が必要です。

労働保険適用事業所検索でさえ手続きを取っているかどうかのチェックができます。手続きができていない場合、指導が入ると思った方が良さそうです。

問題点2ー公共職業安定所の調査が入る

休業支援金の直接の窓口は、公共職業安定所なりオンラインでしょうか。

申請項目(ヒアリング項目)によっては、色々と面白いことができそうです。事業所名・事業所の所在地はもちろんのこと、休業手当受給の有無、1日・1週の労働時間数、週や月間の労働日数、単価(時給、日給、月給など)、源泉・控除の有無、休業の期間・日数などなど。マイナンバーは必須でしょうか。

事業所自体が雇用保険未加入の場合もあるとは思いますが。。。。。未加入の従業員・社員に特別給付金は出ても、その後加入の指導は行われるはずです。

賃金台帳がない、タイムカードや勤務表・出勤簿がない、給与明細もない、最悪給与は現金手渡しの場合とか、どうなるんでしょうか。

事業主が逃げた場合は。。。。。

問題点3ー重複受給のチェック

休業手当の支給がなかったことについては、事業所の証明? 証明されない場合は?

そこでの重複チェックも必要ですし、労基署が調査で指導した場合の受け取り・返還なども規定されるんでしょうが、大変そうです。「ウソ」はついてはいけないと言うことです。悪質な場合は、詐欺になってしまう…。

33万円という金額

15000円が8割なら、逆算して18750円。22日なら月412,500円。結構な高額です。休業2ヶ月半で給料として約100万円受け取れていないことに。

事業主としては、休業日や賃金の証明、休業手当を支払っていないことの証明しかできませんが、従業員・社員がこの休業支援金を受給すること自体リスクに思えます。

「そんな調査なんて、痛くも痒くもない」
「もう廃業する」←こちらなら何も怖くないでしょうか
「簡素化」もされるでしょうが、あまりに省略してしまうと、悪意を持った方が手続きし申請することもあり得ます。事業主と従業員・社員がグルになっても、通常は所得税徴収高計算書を見れば、分かりますけど。

役所間の連携は、労働基準監督署・公共職業安定所の間では常識、税務署(国税庁)が本気を出せば、税務申告の有無を含め、全部バレてしまいます。

ホンマ、どうなるのかは、10日後に分かるかと。


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株式会社 戦略人事研究所

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